「人と話せないわけじゃないのに職場で孤立する人」に共通する、一つの課題
人と全く喋れないわけではないし、むしろ結構喋ること自体はできるのだけれど、職場で周囲と関係性を築けない人がいる——過去の私だ。
挨拶はできるし、一生懸命仕事にも望んでいる。それなりに社内で人と会話もしているが、誰とも、深い関係になれていないような感覚……
ここでいう「深い関係」というのは、友人のような間柄のことではない。
公私の境界を明確に保ちつつも、必要なときに迷いなく頼ることができたり、どんなときでも気にかけてもらえたりする関係のことだ。
本音も伝え合える。これは同僚間にかぎらず、上司や先輩、後輩との関係でも重要になる。
この「深い関係」を持っていないと、職場にいながら、どこか、ひとりで仕事をしているような気持ちになってしまう。
「一人でも問題ないやい!」という方はそのまま邁進していただきたいが、この記事を読んでくださっている方は、もしかすると、なかなか周囲と関係性を築くことができず、どこか職場でのコミュニケーションが減っていってしまい、悩んでいる方が少なくないのではないだろうか。
この悩みをほぐすことを今回考えていきたい。
まずこの悩みの正体は、
「伝達」はできているけど「交換」ができていない状態にあると私は考えている。
「コミュニケーション」を分解すると、こんな構造がある。
①発信 — 言葉を出す
②受信 — 相手の言葉を聞く
③交換 — “受け取ったものを踏まえて”次の発信を出す
コミュニケーションが減っていってしまう人は、①と②はやっているけど、③が起きていない。
さらに特徴として、なんでも一人でやり切ろうとする生真面目な方が多い。
個人的な解釈で仕事を進めてしまったりして、周囲と齟齬が生まれてしまうことがある。表面的な理解で「わかったふり」を咄嗟にしてしまいがちだ。私もこんなことばかりだった。
あなたにも、自分の中で少し思い返してみてほしい。
意識のほとんどが、「自身のやるべきことができているか」という部分にフォーカスしすぎていないだろうか。
義務を果たすために挨拶ができているか。 自分の役割を果たすために、自分の仕事ができているか。
それを考えるのは大切だが、“それだけ”を考えていると、相手視点が欠如し、不和が起きやすい。
自分がうまくやれているか、ちゃんと見られているか——そればかりを気にしている状態では、隣にいる人が見えなくなる。それは別に、自意識が強いとか、自己中心的だということではない。
ただ、課題となっているのは、自分の不安や劣等感を処理することに、エネルギーの大半が使われてしまっている状態にある。
評価されたい、失敗したくない、できない人だと思われたくない。その気持ち自体は自然なものだ。でもそれが行動の中心にあるかぎり、仕事の場での立ち回りはどこか「自分のため」になってしまう。
一緒に仕事をするというより、自分のポジションを守る、あるいは確認する場になってしまう。
そういう状態にあると、誰かと深い関係になるのは難しい。
必要なのは、完璧にやり切ることより、「わからない」「ここで詰まっている」と口にする勇気だ。
その一言が、伝達を交換に変える最初の一歩になる。



