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部署を横断して活躍する人が、地道にやっている3つのこと

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よく人事界隈や意識の高いビジネス界隈で「越境人材」という言葉をよく見かけます。 部署や職種の壁を越えて横断的に価値を出す人こそが、イノベーションの鍵だ、と。

響きはいいですし、憧れる気持ちもわかります。

ただ、現場の実感として言わせてもらうと、「越境する前に、まず自分の持ち場をちゃんとやってほしい」と言いたくなるケースがあまりに多いんですよね。

とても残念なのが、あちこちのプロジェクト会議に顔を出している割に 「あの人、いてもいなくても変わらなくない?」 「結局あの人、何やってる人だっけ?」 と陰で言われてしまうパターンです。

はっきり言ってしまうと、自部署の足場も固まっていないのに、好奇心だけであちこちに首を突っ込むのは越境でも何でもありません。 部署と部署の間をウロウロしているだけの、よくわからない人です。

「あ、それ面白そうですね、僕も噛ませてください」と言ってSlackのチャンネルや会議に入ってきたものの、実作業は一切せず、思いつきのアイデアだけ置いて去っていく。 そんな人、皆さんの周りにもいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、こういう「自称・越境人材」にならず、現場から「あなたがいて助かる」と言われる人になるための、泥臭いけれど確実な手順について書いてみます。

「越境」の難易度をナメてはいけない

そもそも、「越境する」という行為の難しさを見誤っている人が多すぎると思っていまして。

「他部署の人と仲良く話せる」「いろいろなことに興味がある」くらいで務まるポジションではないんですよ。 現場で求められる越境の実態は、もっとシビアなものです。

これまで見てきた限り、本物の越境型人材には、次の3つが必ず備わっていました。

①狂気的なタスクマネジメント能力

越境するということは、自分のメインの業務に加えて、他領域のタスクも背負うということです。 当然、マルチタスクになります。 自分の工数管理もできず、本業の納期も守れない人が「ちょっと手伝いますよ」と顔を出すのは、相手からすると迷惑でしかありません。 自分の皿を空にしてから来てくれ、という話です。

ちなみに、マルチタスク状態でも溺れずにさばき切る方法は、こちらの記事にもまとめていますので、よろしければ。

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②「この人、わかってるな」と思わせる多言語習得能力

営業、エンジニア、デザイナー、カスタマーサクセス・・・ 職種が違えば、使っている言葉も、何をもって正しいとするかの基準も違います。 エンジニアに「この画面、もっとサクサク動くようにしておいてください」なんて言えば怒られますし、営業に技術的負債の話ばかりしても通じません。 それぞれの専門領域について、「この人なら話が通じる」と思われるレベルまで覚える必要があります。

僕も新しいプロジェクトに入るたびに、「話が通じる人と認めてもらうために、知らない分野を急いでキャッチアップせねば」と毎回必死にやっています。 で、必死にやった結果、どういう勉強法が効率的かはそれなりに研究したので、以下のnoteにまとめました。 こちらもお役に立てば幸いです。

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③針の穴を通すような、繊細な根回し力

いろいろな関係者とやり取りするということは、利害調整の連続です。 「まずA部長に筋を通してから、Bチームの実務担当に相談し、最後にC役員の承認を取る」というような、きめ細かくてドロドロした政治力が求められます。 これができないと、ただ会議をかき回して、決定を遅らせるだけの人になってしまいます。

根回しについては、「壁打ちのつもりで相談していたら、それがそのまま根回しになっていた」という話を以前書きましたので、こちらも参考までに。

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まずは「議事録係」から入り込んだPMの話

  • 僕が実際に見てきた「本物の越境型人材」の例です。あるプロジェクトマネージャーのAさんは非エンジニアでしたが、遅延しているシステム開発プロジェクトの火消しのために急遽呼ばれました。それで彼がいきなり「開発定例に参加して、意見をバシバシ言った」かというと、全く違います。

  • Aさんが最初にやったのは、開発定例会議の「議事録係」になることでした。彼は1か月間、開発会議の隅で黙々と、しかし極めて正確なログを取り続けました。

  • もちろん最初は飛び交う専門用語がわかりません。しかし彼は、会議中に分からない単語を全てメモし、会議が終わった直後に「今の〇〇という議論は、こういう理解で合っていますか?」とエンジニアに5分だけ確認する習慣を続けていました。

  • この「知ろうとする姿勢」が、知識と同時に信頼を生んだのです。1か月が経つ頃には、エンジニア側も「Aさんの議事録はわかりやすい」「いつも面倒なログ取りをしてくれて助かる」と信頼を寄せるようになっていました。

  • 彼が初めて「ここの仕様、ビジネス側の要件とズレそうなので、こう調整しましょうか?」と発言したのは、その信頼残高が十分に溜まってからでした。当然、その提案は一発で通りました。

  • これが正しい順序です。信頼も知識もない状態でいきなり偉そうに「越境」しようとすると、異物として排除されます。まずは「地道だけど、誰もが助かる仕事」を粛々と丁寧にやり、周りに聞く耳を持ってもらうところからです。

この大事なスタンスを、僕はAさんから教わりました。

越境したいなら、この3つを地道にやること

で、僕はAさんを捕まえて「どうしたら、Aさんみたいに部署やチームを越えて、誰とでも働けるようになるんですか?」と聞いてみました。

そうしたら、次の3つをやりなさい、とのこと。

①まずは自分の部署の仕事をちゃんとこなし、1日1時間の余剰を作る

  • Aさんの教えはこうでした。「部署横断のプロジェクトに首を突っ込んでいるせいで、本来の自部署の仕事がおざなりになっている人がよくいる。そういうやつは本当に迷惑でしかない。他部署に首を突っ込む前に己の足元の仕事をやれ、と周囲から思われる。これが一番、周りからの信頼を無くす。部署を越えて活躍したいなら、まず周りの人間に迷惑のかからない仕事をすることが大事」。確かにすぎてグーの音も出ません。

  • まずやるべきことの1つ目は、自分の仕事を定時内に完璧に終わらせるところからです。ダラダラやっているメール返信や定型業務の時間を削り、1日1時間の余剰を捻り出す。で、その1時間を他部署への貢献に充てる。これが基本中の基本動作でございます。

  • 自分の仕事がパンパンな状態での越境は、ただの自殺行為です。

②地味だけど誰もが助かるタスクから拾う

  • 確保した1時間を使って、隣の部署やプロジェクトでの「誰も拾わない面倒なボール」を拾いに行きます。派手なプロジェクトじゃなくていいんです。むしろ地味な方がいい。

  • 具体的には、他部署からの問い合わせの一次受け、定例会議のファシリテーションや議事録代行、散らかった共有ドキュメントの整理やWiki化、仕様書のビジネス翻訳といった仕事です。

  • これらは誰もが「面倒くさい」と思っていますが、誰かがやると確実に感謝される領域です。そうやって徐々に「あいつはこっちの言葉もわかるし、役に立つ」という認知を広げていくといいでしょう。

③軸足となる専門性を武器にする

  • ずっと②のような地道なボール拾いだけやっていると、信頼は勝ち取れますが、「ただの便利屋あつかい」で終わってしまいます。部署やチームを横断して爪痕を残すためには、軸足となる専門性を発揮したほうがいいです。

  • 先ほどのAさんは非エンジニアでしたが、プロジェクトマネジメントのプロフェッショナルでした。新規事業立ち上げだろうがシステム開発だろうが、プロジェクトのゴールを定義し、ゴールまでにやるべきことを分解し、適材適所に割り当て、関係者の利害関係を調整しながら、納期通りに完了するよう管理する一連の動作においては、プロ中のプロとして一目置かれていました。

  • なので僕も、何かのプロジェクトに入るよう声をかけていただいた際には、「自分の専門性を使って価値発揮できるテーマか」を確認するようにしています。もしNoであれば、僕の介在価値は低いので丁重にお断りするようにしています。

  • 安請負いせずに、己が価値発揮できる領域に絞って越境する。この選球眼も1つ、大事なところです。

まとめ

越境人材とは、目指して移動するものというより、「自分の持ち場を極めた結果、その枠に収まりきらなくなって溢れ出した状態」を指すのだと思います。

足場のない越境は、ただの逃避です。 もし今、「今の部署つまらないな、もっと横断的な仕事がしたいな」と思っているなら、一度立ち止まって考えてみてもいいかもしれません。

今の仕事で、意図的に「余剰」を作り出せているか。 隣の部署のプロフェッショナルたちに対して、リスペクトを持って対話できる準備(学習する、雑務も厭わずこなす、確固たる専門性を持つ)はできているか。

それがまだなら、まずは目の前の仕事を効率化するところから始めてみるのがよいと思います。 越境はそれからでもよいかもしれません。


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