サイバーセキュリティ株の上げはいつまで続くのか
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ここ数日、セキュリティ関連株だけが異次元の動きをしている。
いま賢い投資家が考えてるのはこれだろう。
「これはいつまで続くのか」 「今買って大丈夫なのか」
テーマ株の一時的な祭りなのか、本物の構造変化なのか、思うところを書いていく。
まず「なぜ今か」を理解する
きっかけは明確だ。
9月だけで30社以上の日本企業が情報漏洩を公表した。
Gyazo 2362万件。 タイムズカー 660万件(免許証160万件)。 デジタル庁 24.6万件。
さらに10月8日、HISからパスポート情報の流出が報じられた。
政府は10月8日午後、関係省庁会議を緊急開催した。警察庁長官は「事案の背景や相互の関連性は明らかではないが、捜査を推進する」と発言。
漏洩ラッシュ ↓ 政府が動いた ↓ セキュリティ株に資金が殺到。
しかもこれは日本だけではない。
米国でもクラウドストライク、パロアルトネットワークス、フォーティネットが10月6日に上場来高値を更新した。世界同時にセキュリティ株が買われている。
「今の上げ」の中身
今の上げは、2つの異なる力が混ざっている。
力①:テーマ株の「祭り」(短期、危険)
個人投資家がニュースを見て、「セキュリティ関連」というラベルがついた銘柄を片っ端から買っている。
実は銘柄の中身を見ずに、ラベルだけで買っている人が大量にいる。これは証拠がある。
10月8日にストップ高になった16銘柄の中に、TWOSTONE&Sons(7352)がある。本業は人材紹介。「グループ会社がサイバーセキュリティ領域に参入」というIRを出しただけでストップ高。
川上塗料(4616)も直近でストップ高。塗料メーカーがなぜセキュリティで上がるのか。子会社がセキュリティ関連の業務を始めたという話。
こういう「ラベルだけセキュリティ」の銘柄が上がっている時は、祭りの最中だ。
祭りは必ず終わる。ニュースが落ち着き、次のテーマが出てきたら、資金は移動する。「ラベルだけ」で買われた銘柄は、祭りの後に-30〜50%下がることが珍しくない。
力②:構造的な需要増(長期、本物)
セキュリティの需要が構造的に増えているのは事実だ。
事実①:漏洩件数が過去最悪ペース 「たまたま今年多い」のではなく、構造的に攻撃が増えている。AIが攻撃ツールを自動生成し、VPNの脆弱性が放置され、日本企業のセキュリティ投資が不足している。
事実②:政府の予算が増えている 経産省の概算要求でサイバーセキュリティ予算は91億円(前年比68%増)。しかし506件の漏洩を前に、91億円では足りないことが明白になった。来年度以降、さらに増額される可能性が高い。
事実③:規制強化の方向 政府が関係省庁会議を開いた。漏洩が続けば、個人情報保護法の罰則強化に動く可能性がある。罰則が強化されれば、企業は「セキュリティに投資しないと罰金」という構造になる。セキュリティ企業にとっては強制的な需要創出。
事実④:AI時代のセキュリティ需要は終わらない OpenAIがGPT-6.1 Astraを安全性の懸念で公開中止にした。AIが賢くなるほど、AIによる攻撃も賢くなる。AIを監視するAIが必要になる。この構造は、AIが存在する限り永遠に続く。
では、今買っていい銘柄と、買ってはいけない銘柄をどう区別するか。
買う価値がある銘柄の特徴
①セキュリティが「本業」 売上の大部分がセキュリティ関連。漏洩が増えれば、直接的に受注が増える。
②ストック型の収益モデル 一度導入したセキュリティ製品は、毎年ライセンス更新料が発生する。解約率が低いSaaS型ならなお良い。
③代替が効かない技術を持っている 「どのセキュリティ企業でもいい」ではなく、「この企業しか持っていない技術」があるかどうか。
「いつまで続くか」への答え
「祭り」は1〜3週間で終わるだろう。
ニュースの鮮度が落ち、次のテーマが出てくれば、資金は移動する。いまの株価急騰は10月中旬〜下旬には落ち着くだろう。
ストップ高で買った人の多くは、11月の四半期決算で「思ったほど売上が増えていない」ことに気づき、失望売りが出る。
祭りで+100%上がった銘柄が、-40%調整することは普通にある。
でも「構造」は終わらない。
漏洩件数は来年も増えるし、政府の予算も増えるし、規制も強化されるし、AIの脅威も拡大する。
祭りが終わった後の「調整底」で買うのが、最もリスクとリターンのバランスが良い。
大まかなタイミングのイメージはこうだ。
今(10月上旬):祭りの真っ最中。ストップ高連発。ここで飛びつくのは危険。 ↓ 10月中旬〜下旬:祭りが落ち着く。ニュースの鮮度が落ちる。新TOPIX入れ替え(10月30日)に注目が移る。 ↓ 11月〜12月:四半期決算で「本物」と「偽物」が分かれる。売上が伸びている企業は決算で確認できる。売上が伸びていない企業は失望売り。
「失望売りで下がった本物」を拾う。これが最もリターンが高い。
トレンドマイクロだけが「別格」
16銘柄がストップ高の中で、1社だけ違う動きをしている銘柄がある。
トレンドマイクロ(4704)。
ストップ高ではない。でも連日で年初来高値を更新し続けている。時価総額は約1兆円。他のセキュリティ株が時価総額100〜300億円の小型株なのに対し、桁が違う。
小型株がストップ高で乱高下する中、大型株が静かに最高値を更新し続けている。
これは「祭りの資金」ではなく、「機関投資家の資金」が入っている証拠だ。
個人投資家は小型株を買う。機関投資家は大型株を買う。「両方が同時にセキュリティを買っている」のが今の状況だ。
小型株の祭りは終わるかもしれない。
でもトレンドマイクロに機関投資家の資金が入り続けている限り、セキュリティテーマ自体は生きている。トレンドマイクロの年初来高値更新が止まった時が、テーマ全体の天井を疑うシグナルと言えるだろう。
まとめ:祭りは終わるが構造は終わらない
今のサイバーセキュリティ株は「祭り」と「構造」が混ざった相場だ。
祭りの部分:ラベルだけで買われた銘柄。セキュリティが本業ではない企業。これらは1〜3週間で終わる。-30〜50%の調整が来る。今飛びつくのは危険。
構造の部分:漏洩件数は過去最悪。政府の予算は増える。規制は強化される。AIの脅威は拡大する。米国でも上場来高値。これは終わらない。
いまからやるべきことは、祭りが終わるのを待ち、11月の決算で失望売りが出たときに拾う。
祭りの後の調整底で、「本物」だけを拾う。
今このテーマは長期視点で見ることをおすすめする。
ps
実はサイバーセキュリティは9/17の限定記事で、銘柄までピンポイントで紹介している。ここで入った人は2週間ほどで倍になっているだろう。
次の国策銘柄 https://x.com/tousika1/status/2100524800544571760
今回の記事の「祭りの後での調整を狙え」というのは、いまから入る人や買い増ししたい人向けだ。
これを見て先月買った人は、長く保有して良い。
長く持てるテーマを安く仕入れた時は、あまり動かさない方がいい。


