自律神経が整った人の人生がうまくいく5つの理由
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まわりに、なぜかいつも物事がうまく回っている人っていませんか。
嫌なことがあっても翌日にはケロッとしている。大事な場面で落ち着いて話せる。人に好かれて、夜はちゃんと眠れている。
そういう人を見ると「性格がいいから」と思いがちです。でも海外の研究を追っていくと、うまくいく人の体には共通点が見えてきます。自律神経の「切り替え」がなめらかだということです。
先に結論を言っておきます。
自律神経が整っている人は、アクセルとブレーキの踏みかえが速い。だから、感情・判断・行動・人間関係・眠りのどれかが崩れても、元に戻るのが早いんです。
そしてこの切り替えの力は、呼吸ひとつで動かし始めることができます。鼻から4秒吸って、口から6秒かけて吐く。これを1分間、6回くり返すだけです。
ここから、5つの理由と、それぞれの整え方を順番に見ていきます。
「整っている」は、ずっとリラックスしている状態ではない
自律神経には、体を活動モードにする交感神経(アクセル)と、休息モードにする副交感神経(ブレーキ)があります。
整っているというのは、ずっとゆったりしていることではありません。大事な場面ではしっかりアクセルを踏み、終わったらすっとブレーキに切り替えられる。この踏みかえがなめらかな状態のことです。
この切り替えの力は、心拍から読み取れます。心臓の1拍ごとの間隔は、実はほんのわずかに伸び縮みしています。この揺れを「心拍のゆらぎ」と呼び、ゆらぎが大きいほど、ブレーキ役の神経(迷走神経)がよく働いているとされています。
逆に、ストレスでアクセルが踏みっぱなしになると、心拍はメトロノームのように単調になります。このあと紹介する研究の多くは、この心拍のゆらぎをものさしにしたものです。
理由① 嫌なことがあっても、引きずる時間が短い
うまくいく人は、嫌なことが起きないわけではありません。起きたあとに、引きずる時間が短いんです。
2015年にアメリカの研究チームが発表した研究では、心拍のゆらぎが小さい人ほど、感情の扱いにくさを強く感じていることがわかりました。特に「気持ちが乱れたとき、目の前のことに集中し直すのが難しい」という点で、その傾向がはっきり出ていたと報告されています。
感情を引きずってしまうのは、心が弱いからではなかったんです・・・。体の側に、立て直すための余力が残っているかどうかの違いだったということです。
職場できつい言い方をされても、整っている人はその日の夕方には次の仕事に気持ちが向いています。家族と言い合いになっても、ひと晩たつと「言い過ぎたかな」と自分から声をかけられる。
立て直しが早いと、その後の半日や1日がまるごと守られます。1日の差は小さくても、1年積み重なると、使える時間も気力もかなり変わってきます。
整え方1:1分でできる「4秒吸って6秒吐く」呼吸
海外の研究では、1分間に6回前後のゆっくりした呼吸をすると、心拍のゆらぎがいちばん大きく引き出されやすいことがわかっています。吐く時間を長めにするのは、息を吐いている間のほうがブレーキ側の神経が働きやすいからです。
【1分・切り替え呼吸】
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椅子に座り、肩の力を抜く
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鼻から4秒かけて、お腹をふくらませるように吸う
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口をすぼめて、6秒かけて細く長く吐く
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これを6回くり返す(約1分)
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苦しいときは「3秒吸って5秒吐く」から始める
嫌なことがあった直後、トイレや階段の踊り場でこの1分をはさむだけでも、気持ちを立て直すきっかけになります。
理由② 大事な場面で、頭が真っ白になりにくい
プレゼンで言葉が出てこなくなる。急なトラブルで、何から手をつければいいかわからなくなる。これは能力の問題ではなく、脳の司令塔が一時的に働きにくくなっている状態です。
考えを整理したり、衝動にブレーキをかけたりしているのは、おでこの裏側にある前頭前野です。2009年にアメリカの大学の研究者がまとめた論文では、ごく軽いストレスでも「自分ではどうにもできない」と感じるものだと、前頭前野の働きが短時間で大きく落ちると整理されています。
一方で、心拍のゆらぎが大きい人ほど、前頭前野を使う課題の成績が良い傾向があることも、同じ年の別の論文で示されています。
つまり、切り替えがなめらかな人は、プレッシャーの中でも司令塔が働き続けやすい。会議で急に意見を求められても、一瞬間をおいて要点から話せる。子どもが夜中に熱を出しても、体温を測り、受診の目安を調べ、翌朝の段取りまで考えられる。
人生の分かれ道は、たいていこういう「とっさの数秒」の積み重ねでできているのかな、と思います。
整え方2:「動かせること」を1つだけ書き出す
大事なのは、「どうにもできない」と感じるストレスほど司令塔を弱らせてしまうという点です。逆に、自分で動かせる部分を1つ見つけるだけで、負担は軽くできます。
【頭が真っ白になりそうなときの3行メモ】
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いま起きていること:(例:資料が間に合わない)
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自分では変えられないこと:(例:締め切りの日時)
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自分で動かせること1つ:(例:今日中に途中経過だけ送る)
スマホのメモにこの3行を書くだけで大丈夫です。3行目が決まると、次の一手が見えてきます。
理由③ 「いつものクセ」に流されず、選び直せる
疲れた夜ほどスマホを見続けてしまう。ストレスがたまると、いつもの甘いものに手が伸びる。この「わかっているのに、クセが出る」状態にも、自律神経が関わっています。
2009年、ドイツの大学の研究チームが、参加者の一部に人に見られながら氷水に手を入れてもらうストレス体験をしてもらったあと、2種類の食べ物がもらえる操作を覚えてもらいました。
途中で片方の食べ物をお腹いっぱい食べてもらうと、ストレスのない人はその操作を減らしました。ところがストレスを受けた人は、もう満腹なのに同じ操作を続けやすかったんです。
ストレスがかかると、人は「目的に合わせて選ぶ」より「いつも通りに動く」ほうに切り替わりやすい。
「今月は節約しよう」と決めていたのに、疲れた日に通販サイトを開いていた。「今日こそ優しく言おう」と思っていたのに、いつもの口調で叱っていた。どれも、意志が弱いからではなかったんです。整っている人は、ここで選び直せる。その小さな差が、半年後の生活を分けていきます。
整え方3:選ぶ前に「ひと息」をはさむルール
行動を我慢するのではなく、行動の前にひと息を置くルールを先に決めておきます。
【選び直しのルール(自分用に書き換えて使う)】
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夜にスマホを手に取ったら → 画面を見る前に、ゆっくり2回吐く
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ストレスで何か買いたくなったら → カートに入れて、翌朝まで決済しない
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カッとして言い返したくなったら → 6秒かけて1回吐いてから話す
ゆっくり吐くあいだにブレーキ側の神経が少し働いて、「本当はどうしたかったんだっけ」と考え直す余白が生まれやすくなります。
理由④ 人とのつながりが、自然に育っていく
うまくいく人のまわりには、なぜか人が集まってきます。この人とのつながりと自律神経の関係を調べた研究があります。
アメリカのノースカロライナ大学の研究チームは、2010年に、迷走神経の働きがもともと高い人ほど、その後の数週間で前向きな感情と人とのつながりの実感が増えやすかったと報告しました。
2013年には同じチームが、6週間、自分や他人への思いやりを育てる瞑想の講座に通ったグループで、前向きな感情とつながりの実感が増え、迷走神経の働きも高まっていったと報告しています(この研究はデータの解釈をめぐる議論もあり、検証が続いています)。
研究チームはこれを「上向きのらせん」と呼んでいます。整うとつながりを感じやすくなり、つながりを感じるとまた整っていく。相手の話を最後まで聞けて、表情がやわらかい人に、人もチャンスも集まりやすいのは自然なことなのかもしれません。
整え方4:寝る前3分の「思いやりの言葉」
研究の瞑想は本格的なものですが、考え方のエッセンスは短い言葉で取り入れられます。
【寝る前3分・思いやりの言葉】 目を閉じてゆっくり呼吸しながら、心の中で1行ずつ唱える
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私が、安心して過ごせますように
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私の大切な人が、元気で過ごせますように
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今日すれ違った人が、穏やかに過ごせますように
気持ちがついてこない日は、1だけでも十分です。自分を大事にする言葉から始めるのが、いちばん続けやすいと思います。
理由⑤ 眠りで、毎日きちんとリセットできる
実はここまでの4つは、すべて眠りの上に成り立っています。
2007年、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校などの研究チームが、一晩眠らずに過ごした人とふつうに眠った人に不快な画像を見せ、脳の反応を比べました。すると眠らなかった人は、不安や恐怖に反応する扁桃体の反応が約60%も強くなっていました。
さらに、ふだん扁桃体にブレーキをかけている前頭前野とのつながりも弱くなっていたと報告されています。眠れないと、警報装置が鳴りやすく、止める役も弱くなるということです。
深い眠りの間は、ブレーキ役の副交感神経が優位になる時間でもあります。整っている人は、毎晩このリセットがきちんとかかるから、昨日の疲れを今日に持ち越さずにすむんです。
前日に嫌なことがあっても、ひと晩眠ると「まあいいか」と思える。朝、目覚ましが鳴る前に自然と目が覚めて、午前中から頭が動く。この差は1日単位では小さく見えても、毎日積み重なると、1年後にはかなり違う景色になっているはずです。
整え方5:寝る前30分のブレーキ切り替え
【寝る前30分のブレーキ切り替え】
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30分前:照明を1段階暗くする。連絡ごとはここで終わりにする
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20分前:スマホを手の届かない場所へ。明日やることを紙に3つ書いて頭の外に出す
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10分前:布団の中で「4秒吸って6秒吐く」を1〜2分
全部やらなくて大丈夫です。どれか1つだけ、今夜から試してみてください。
5つは輪でつながっている。始めるのは眠りから
眠りでリセットできると、翌日の感情が立て直しやすくなる。感情が落ち着くと、頭が働き、クセに流されずに選び直せる。余裕があるから人にやさしくでき、つながりを感じて安心して眠れる。
ひとつが整うと、ほかも引っぱられるように整っていきます。だから全部を一度に変えなくていいんです。
迷ったら、次の順番で始めてみてください。
・1番目は、眠り(整え方5)。ほかの4つの土台になる
・2番目は、1分呼吸(整え方1)。いつでもどこでもできる
・3番目以降は、余裕が出てきたら選び直しのルール、3行メモ、思いやりの言葉を足していく
人生がうまくいく人は、特別な才能を持っているわけではないのかもしれません。アクセルとブレーキを踏みかえる力が、毎日少しずつ育っている。その積み重ねが、ある日ふと「最近なんだか、うまく回っているな」という感覚になって表れてくるんだと思います。
今夜は、布団に入ったら1分だけ、4秒吸って6秒吐く呼吸から始めてみてください!
自律神経の切り替え力を育てる仕組みや整え方を、ほかにもまとめています。気になった方は、他の記事ものぞいてみてくださいね。


