承諾率を60%から94%に上げる一言
文章目录
「お願いできますか」と送ったメールに既読がつかない。
会議で協力を頼んだら「一旦持ち帰ります」で終わった。
忙しそうな相手に声をかけられず、結局は自分でやって深夜になった。
これは、あなたの頼み方に問題があるかもしれません。
足りていない言葉が、1つあるだけです。
120人を相手にした実験で、承諾率が60%から94%に変わりました。足したのは「ので」の一言です。
今日は、頼みごとが通る設計を3つにまとめました。
1. 60%が94%になった。足したのは「ので」だけ
今日すぐ使えるのは、これです。
1978年、心理学者のエレン・ラングラーらが、ニューヨーク市立大学大学院センターのコピー機の列で実験をしました。対象は120人。
順番待ちの人に声をかけ、3つの言い方を試しています。
・「すみません、5枚あります。コピー機を使わせてもらえませんか」 → 承諾率60% ・「すみません、5枚あります。急いでいるので、コピー機を使わせてもらえませんか」 → 承諾率94% ・「すみません、5枚あります。コピーを取らないといけないので、コピー機を使わせてもらえませんか」 → 承諾率93%
3つ目をもう一度読んでください。
「コピーを取らないといけないので」
これは理由になっていません。コピー機の列に並んでいる人は、全員コピーを取らないといけません。
それでも93%です。本物の理由(94%)と、ほぼ同じでした。
断られる側から見ると、40%が6%になったということです。
相手の脳:「(理由があるなら、まあいいか)」
ダメな依頼:「この資料、確認お願いできますか」
ナイスな依頼:「金曜の会議で使うので、この資料を確認お願いできますか」
正体は、理由の中身ではありません。理由の形に反応する脳です。
今日やる1手:次に出す依頼に「〜ので」を1つ足す。
ここで「60%でも十分高いのでは」と思ったかもしれません。
その感覚は正しいです。そして、そこがもう1つの発見につながります。
2. あなたは、通る確率を半分に見積もっている
本命はこれです。
スタンフォード大学のフリンとレイクが、2008年に発表した研究があります。
参加者に、知らない人へ直接お願いをしてもらいました。道を教えてもらう。携帯電話を借りる。寄付を頼む。
そして頼む前に「何人が引き受けてくれると思うか」を予想させています。
結果はこうです。
人は、引き受けてもらえる確率を最大50%低く見積もっていました。
実験室でも、街に出た現場でも、同じでした。
なぜズレるのか。研究チームは理由まで調べています。
頼む側が見ているのは「手伝う手間」です。相手にかかる負担を計算している。
しかし断る側が感じているのは、別のものでした。「断りづらさ」です。
相手の脳:「(ここで断るのは、さすがに気まずい)」
つまり、あなたが頼まなかった案件の半分は、頼めば通っていた可能性があります。
今日やる1手:頼むのをやめた案件を1つ思い出して、今日のうちに頼む。
3. 対面は、メールの34倍
ここが一番差が出ます。
ロガニザドとボーンズが2017年に行った実験です。
45人の参加者に、それぞれ10人の他人へ「短いアンケートに答えてほしい」と依頼させました。文面は全員まったく同じです。
違いは1つだけ。半分はメールで送り、半分は対面で頼みました。
結果です。
対面の依頼は、メールの34倍成功しました。
言い換えると、対面で6人に頼むことが、メールを200人に送るのと同じです。
しかも参加者本人たちは、依頼の前に「どちらも同じくらい通るだろう」と予想していました。
対面の力を過小評価し、メールの力を過大評価していた。
相手の脳:「(目の前にいる人に、ノーとは言いにくい)」
ダメな段取り:まずメールで打診して、返事がなければ声をかける
ナイスな段取り:重い依頼ほど、先に口で言う。メールは確認に回す
今日やる1手:今週の重要な依頼を1件、メールから対面か通話に変える。
4. ここで一度冷静に
誤解しないでほしいので、限界を書きます。
ラングラーの実験には続きがあります。
同じ実験で、コピーの枚数を5枚から20枚に増やしました。相手の負担が大きい頼みごとです。
このとき、「コピーを取らないといけないので」という中身のない理由を足しても、承諾率は約24%のまま変わりませんでした。
つまり「ので」が効くのは、小さな頼みごとだけです。
相手に負担がかかる依頼では、理由の形ではなく、理由の中身が見られます。
そして、この実験は1978年のもので、対象は120人です。
それでもこの3つを使う理由は1つです。
言葉を1つ足すのも、メールを対面に変えるのも、費用がゼロだからです。
5. まとめ
・理由なし 60% → 「急いでいるので」 94% ・中身のない理由でも 93% ・断られる側で見ると 40% → 6% ・ただし大きな頼みでは 約24% のまま変わらない ・人は、引き受けてもらえる確率を最大50%低く見積もっている ・対面の依頼は、メールの34倍成功する ・対面6人 = メール200人
最後に
頼むのが下手な人は、遠慮深いのではありません。
理由を言っていないだけです。そして、断られる確率を勝手に倍に見積もって、頼むのをやめているだけです。
通らないのは、頼みごとの中身ではありません。渡し方です。
真っ向から「お願いします」と繰り返しても、承諾率は動きません。
そうではなくて、まず理由を1つ置く。次に、口で言う。
それが、承諾率を60%から94%に上げる仕組みです。
あなたが今週諦めた頼み事は、本当に断られていたでしょうか。
次は「海外で成功している『日本でも始めやすい低コストAIビジネス』7選」を書きます。1人で月1,500万円を売り上げている個人開発者の話から始めます。
明日も記事を出します。お楽しみに。
見逃さないようにフォローしておいてください。
モーツァルト。 @Mozart_viral
参考文献
Langer, E. J., Blank, A., & Chanowitz, B. (1978) "The Mindlessness of Ostensibly Thoughtful Action: The Role of 'Placebic' Information in Interpersonal Interaction", Journal of Personality and Social Psychology Flynn, F. J., & Lake, V. K. B. (2008) "If You Need Help, Just Ask: Underestimating Compliance With Direct Requests for Help", Journal of Personality and Social Psychology Roghanizad, M. M., & Bohns, V. K. (2017) "Ask in Person: You're Less Persuasive Than You Think Over Email", Journal of Experimental Social Psychology


