本当に日本国憲法が通用しないタイプの犬鳴村
犬鳴村って有名なネット怪談、あるじゃないですか……。
あの、村の入り口に「この先、日本国憲法通用せず」って看板があって、村の中でいろいろ恐ろしいことが行われてるってやつです。
まあみなさん、けっこうこのネット怪談は知ってると思うんですけども。昔流行りましたからね。ある年代以上なら。
で、あの話、読んだとき思いませんでしたか?
「え? 憲法?」
って。
いや、これが「この先、日本の法律通用せず」だったら分かるんですよ。
「あー。日本の法律が通用しないんだな。こわいなー」
ってなるじゃないですか。
でも「憲法」だとほら、なんか話が大きすぎて「別の法体系ってコト……?」ってなるんですよ。なんか。
そんなわけでわたくし、やってまいりました「ニュー犬鳴村」です。
こちらも本家犬鳴村と同じく「この先、日本国憲法通用せず」の看板が入り口に立っておりますが、看板に偽りなしとのことです。
入ってみましょう。
いったいどんな「憲法通用せず」が待ちかまえているのでしょうか?
ニュー犬鳴村に入ってしばらく行くと、爆撃機がありました。
「げえっ! 『陸海空軍その他の戦力』!」
>第九条 2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
「なるほど……たしかに憲法違反しているな……」
わたしは感心しました。まあ「自衛隊どうなの?」って話はいったん脇に置きましょう。ニュー犬鳴村は確かに日本国憲法が通用していません。
わたしはさらに犬鳴村の奥に進みます。すると人影が!
「げえっ! 華族その他の貴族!」
第十四条 2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
ニュー犬鳴村には貴族がいます。これも完全に憲法違反ですね。
いやー恐ろしい村だ。次は何が来るのでしょうか?
おっと、なにやら選挙をしているようです。ちょっと見てみましょう。
「げえっ! 選挙人の選択に関し公的あるいは指摘に責任を問うてる!」
第十五条 4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。
まあこれ、ネットでもよく主張してる人いますけどね……。
いちおう保護されてるんですよね。そこんとこ。保護しないと民主主義が委縮してしまうよね。
さて、村の奥にすすむと税務署がありました。税務署員は全員死んでいました。
「げえっ! 納税してねえ!」
第三十条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
まあ正直「国は税を課すことができる」ぐらいの書き方でいいんじゃないのと思いますけどね。
さてさらに村の奥に進むと、そこには……。
「げえっ! 軍人が内閣総理大臣をやってる!」
第六十六条 2 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
「げえっ! 特別裁判所が設置されてる!」
第七十六条 2 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない
「げえっ! 公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、公金その他の公の財産を支出し又はその利用に供している!」
第八十九条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
このように、ニュー犬鳴村は真に日本国憲法の通用しない恐ろしい場所なのでございます。


