918人でやり直したら、マシュマロ実験の「我慢できる人は成功する」は3分の2が消えた
文章目录
ニューヨーク大学とカリフォルニア大学の研究結果です。
我慢できる子ほど、将来成功すると思っていませんか?
すぐ食べる子 「(どうせ、あとでくれないでしょ)」
待てる子 「(待てば、ちゃんと2個もらえる)」
続かない大人 「(どうせ、やっても返ってこない)」
正しかったのは、すぐ食べる子です。
そしてこれは、大人の「続かない」にも、そのまま当てはまります。
「大人が約束を2回破っただけで、子どもの待つ時間が12分から3分に縮んだ」ことも、実験で確かめられています。
本題に入る前に、ひとつだけお知らせを。
本業を続けたまま副業を始めた順番と、つまずいたところをオープンチャットで共有しています🦊
▼ X×マネタイズ攻略
名前はいまのままで入れます。では、本題に入ります。
1. 「我慢できる子は成功する」は、約90人の調査から始まった
1960年代、アメリカのスタンフォード大学で行われた、有名な実験があります。
4歳の子どもの前に、マシュマロを1個置きます。そして、大人がこう言って部屋を出ます。
「食べずに待てたら、もう1個あげるよ」
待つ時間は、最大「15分」です。
有名になったのは、その後の追跡調査です。長く待てた子ほど、10代になってからの学力テストの点が高かった。
ここから、「我慢する力が、人生を決める」という話が世界中に広まりました。
ただ、この調査には、あまり知られていない事情があります。
・調べた子どもは「約90人」 ・ほとんどが、スタンフォード大学の先生や職員の子ども
人数が少なく、しかも、家庭の環境がよく似た子どもたちでした。
「我慢できる子は成功する」は、約90人の、よく似た家の子どもの話だったのです。
2. 918人でやり直すと、関係は半分になった
2018年、ニューヨーク大学とカリフォルニア大学アーバイン校の研究チームが、この実験をやり直しました。
今度は、人数が「918人」。元の実験の約10倍です。
しかも、アメリカ各地の、いろいろな家庭の子どもを集めました。
4歳のときにマシュマロの実験をして、15歳のときの学力と比べています。
研究チームがとくに注目したのは、母親が大学を出ていない家庭の子どもです。元の実験には、ほとんどいなかった子どもたちです。
結果です。
待てた時間と学力の関係は、たしかにありました。
でも、その大きさは、元の研究の「半分」でした。
そして、ここからが本題です。
研究チームは、次の3つをそろえたうえで、もう一度比べました。
・家庭の環境(親の学歴や暮らし向き) ・小さい頃の頭の力 ・家での過ごし方
結果です。
待てた時間と学力の関係は、「3分の2」が消えました。
同じような環境で育った子ども同士で比べると、「待てたかどうか」は、15歳の学力をほとんど説明していなかったのです。
15歳のときの行動の面でも、はっきりした関係は、ほとんど見つかりませんでした。
差がついていたのは、最初の20秒だけ
もう1つ、意外な結果があります。
学力との関係は、ほとんどが「最初の20秒を待てたかどうか」で説明できました。
・20秒待てた子と、待てなかった子:差がある ・20秒待てた子と、最後まで待てた子:差は小さい
最後まで待ちきる力が、将来を決めていたわけではありませんでした。
「我慢できる子は成功する」のではなく、「成功しやすい環境で育った子が、待てていた」。
順番が、逆だったのです。
3. 「すぐ食べる子」は、約束を破られた子だった
では、なぜ環境で、待てるかどうかが変わるのか。
2013年、アメリカのロチェスター大学の実験が、その答えを見せてくれます。
参加したのは、3歳から5歳の子ども「28人」です。
マシュマロの前に、まず工作をしてもらいました。
机の上には、使い古したクレヨンしかありません。そこで大人が、こう約束します。
「もっといい画材を持ってくるから、待っててね」
シールでも、同じ約束をもう1回します。約束は、合わせて2回です。
ここで、子どもを2つに分けます。
・約束を守られたグループ:2回とも、大人が本当に持って戻ってくる ・約束を破られたグループ:2回とも、大人が手ぶらで戻ってきて、「ごめんね、なかったよ」と言う
そのあとで、いつものマシュマロの実験をしました。
結果です。
・約束を守られた子:平均「12分2秒」 ・約束を破られた子:平均「3分2秒」
待てた時間に、「4倍」の差がつきました。15分を最後まで待ちきった子の数も、まったく違います。
・約束を守られた子:14人中「9人」 ・約束を破られた子:14人中「1人」
破られた約束は、直前の2回だけです。それだけで、子どもの行動はここまで変わりました。
待たないのは、弱さではなく正しい判断だった
約束を破られた子の立場で、考えてみてください。
さっき、この大人は「持ってくる」と言って、持ってこなかった。
その同じ大人が、今度は「待てたら、もう1個あげる」と言っている。
信じて15分待つより、目の前の1個を今食べるほうが、確実です。
冒頭の、すぐ食べる子の「どうせ、あとでくれないでしょ」は、わがままではありませんでした。
これまでの経験から出した、まっとうな答えだったのです。
待てない子は、弱いのではありません。待っても、もらえなかった子です。
4. 日本の子どもは、マシュマロなら15分待てた
もう1つ、我慢が生まれつきの力ではないと分かる研究があります。
2022年、アメリカのコロラド大学と、日本の京都大学・東京大学などの研究チームが発表したものです。
日本とアメリカの4〜5歳の子ども、合わせて「138人」(日本80人、アメリカ58人)に、2種類の「待つ実験」をしてもらいました。
1つは、いつものマシュマロ。食べずに待てるかどうか。
もう1つは、包んであるプレゼント。開けずに待てるかどうか。
結果です。
食べ物を待つ時間
・日本の子ども:「15分」(待てる時間の上限) ・アメリカの子ども:「4分未満」
プレゼントを待つ時間
・日本の子ども:「5分未満」 ・アメリカの子ども:「約15分」
きれいに、逆になりました。
日本の子どもが、特別に我慢強いわけではありません。プレゼントは、すぐ開けています。
研究チームの説明は、こうです。
日本の子どもは、「みんながそろって、いただきますをするまで食べない」という習慣の中で育ちます。
アメリカの子どもは、プレゼントを誕生日やクリスマスの朝まで開けずに待つ習慣の中で育ちます。
実際、家で食事を待つ習慣がある子ほど、マシュマロを長く待てていました。
人は、「いつも待っている場面」でなら、待てます。我慢は、生まれつきの強さではなく、慣れた場面で出る習慣でした。
5. でも、我慢する力がムダなわけではない
ここまで読むと、「我慢なんて意味がない」と思うかもしれません。そうではありません。
2018年のやり直しでも、関係がゼロになったわけではありません。3分の1は残っています。
また、別の大きな調査もあります。
ニュージーランドで、約1,000人の子どもを、生まれたときから32歳まで追いかけた研究です。
子どもの頃に、自分を抑える力が高かった人ほど、大人になってからの健康や暮らしが安定していました。
なので、正確にはこうなります。
・自分を抑える力は、効かないわけではない ・ただし、その力は、育った環境や習慣に大きく左右される ・だから、「待てない=本人が弱い」と決めつけるのは間違い
ただし、この実験だけで人生は占えない
4歳のときの、たった1回の15分。
それだけで、その子の将来が分かる。そう信じられてきました。
でも、918人でやり直してみると、この実験で分かることは、思われていたよりずっと少なかった。
1回の結果で人を決めつけるのは、子どもに対しても、大人に対しても、早すぎます。
6. 大人の「続かない」も、同じ仕組みで起きている
この話は、子どもだけのものではありません。大人にも、マシュマロと同じ場面があります。
・頑張って成果を出したのに、評価されなかった ・「次は昇格だから」と言われて、3年待った ・毎日続けたのに、何も返ってこなかった
こういう経験が重なると、人は待たなくなります。
新しいことを始めても、すぐやめてしまう。目の前の楽なほうを選ぶ。
周りからは、「意志が弱い」「続かない人」と見られます。冒頭の、続かない大人です。
でも、ロチェスター大学の子どもたちと同じことが、大人でも確かめられています。
2013年、アメリカのコロラド大学の実験です。参加したのは、大人「78人」。
いろいろな人物の紹介文を読んでもらいます。信用できそうな人、信用できなさそうな人、どちらでもない人。
そのうえで、こう聞きました。
「この人から、今すぐ少しもらうのと、あとでたくさんもらうのと、どちらを選びますか」
結果です。
相手が「信用できなさそうな人」のとき、大人も、あとのごほうびを待たなくなりました。
別の大人「172人」で、顔写真を使ってやり直しても、同じ結果でした。
子どもだけではありません。大人も、「この相手は約束を守らない」と感じたら、待つのをやめます。
待たなくなった大人は、「待っても、もらえなかった」経験から学んでいます。意志の強さとは、関係がありません。
そして、ここに希望があります。
約束を守られた子は、4倍長く待てました。環境が変われば、同じ人でも、待てるようになります。
意志を鍛える必要はありません。「待てば、返ってくる」経験を、小さく1回作ればいいのです。
明日からできること
① 「続かない」を、意志ではなく環境のせいにしてみる
続かなかったことを1つ思い出して、「そのとき、待った分は返ってきていたか」を考えてください。返ってきていなかったなら、やめたのは正しい判断です。
② 自分との約束を、必ず守れる小ささにする
「毎日1時間」ではなく、「毎日5分」。守れた回数が、「自分は約束を守る」という証拠になります。約束を守られた子が待てたのと、同じ仕組みです。
③ 待つ場面を、毎日同じにする
日本の子どもが食事なら待てたのは、毎日同じ場面で待っていたからです。「夕食のあとの10分」のように、場面を固定してください。
④ 子どもや部下にした小さな約束を、必ず守る
「あとでね」と言ったら、必ずあとでやる。2回の約束破りで、待てる時間は4分の1になっていました。守れない約束は、最初からしません。
⑤ 最後まで我慢しようとしない
918人の研究で差がついていたのは、最初の20秒を待てたかどうかでした。最後まで待ちきる力ではありません。スマホを触りたくなったら、まず20秒だけ置く。完ぺきに我慢しなくていい、という目安にしてください。
まとめ:待てないのは、弱さではない
我慢できる子が、成功する。
長いあいだ、そう信じられてきました。
でも、918人でやり直すと、その関係のほとんどは、育った環境で説明できました。
待てなかった子は、弱かったのではありません。待っても、もらえなかったのです。
これは、大人も同じです。
続かなかったこと、途中でやめたこと。それを「自分は意志が弱いから」と片づけてきた人は多いと思います。
でも、あのとき、待った分は返ってきていたでしょうか。
返ってこない場所で待つのをやめたのは、弱さではありません。
約束を破られた子も、守ってくれる大人に出会えば、12分待てます。
待てる自分は、いなくなったわけではありません。
待つ価値のある場所に、まだ立っていないだけです。
最後に|次の一歩も、一緒に考えよう
副業も、同じです。
続かなかった人の多くは、やっても何も返ってこない期間が、長すぎました。
だから最初は、小さくても「やったら返ってきた」を1回作ることが大事です。
僕自身、SEの本業を続けたまま物販を始めて、5年続けてきました。
本業を続けながら副業の時間をどこで作ったか、始めてすぐにつまずいたところは、オープンチャットで共有しています。読むだけなら無料で、名前もいまのままで入れます🦊
▼ X×マネタイズ攻略
記事は毎日こちらで書いています。
▼ Xのフォローはこちら
@santaro_mnp
意志を鍛えなくていい。返ってくる場所を選べば、それで大丈夫です🦊
参照元
・ニューヨーク大学/カリフォルニア大学アーバイン校(Psychological Science, 2018/918人でのマシュマロ実験のやり直し) ・スタンフォード大学(1960年代〜/元のマシュマロ実験と追跡調査) ・ロチェスター大学(Cognition, 2013/約束を守られた子と破られた子、28人) ・コロラド大学ボルダー校(Frontiers in Psychology, 2013/相手の信用と待つ判断、大人78人と172人) ・コロラド大学/京都大学/東京大学ほか(Psychological Science, 2022/日本とアメリカの子ども138人) ・ニュージーランド・ダニーデンの追跡調査(PNAS, 2011/約1,000人を32歳まで)
※ この記事の数字は、いずれも集団の傾向を示すものです。





