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お腹の脂肪だけを狙って落とす方法

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「腹筋をしても、お腹の脂肪だけが落ちることはない」

これは長い間、ダイエットの常識でした。

お腹を100回鍛えようが、太ももを何百回動かそうが、脂肪は全身から落ちていく。落とす場所を自分で選ぶことはできない。

いわゆる「部分痩せはできない」という話です。

実際、これを裏づける研究もあります。

2011年、男女24人を対象にした研究では、参加者に6週間、週5日、7種類の腹筋運動を行わせました。

腹筋の持久力は向上しました。

しかし、体脂肪率、腹囲、腹部の皮下脂肪には有意な変化がありませんでした。

つまり、

「腹筋をやれば、その上についている脂肪が燃える」

という単純な話ではなかったのです。

「部分痩せはできない」が揺らぎ始めている

ところが最近、この常識が少し揺らぎ始めています。

2023年、ノルウェーの研究チームが興味深い実験を行いました。

対象は過体重の男性16人。

一方のグループには45分間のランニング。

もう一方には、27分のランニングに加えて腹筋運動と体幹運動を行わせました。

重要なのは、両グループの運動によるエネルギー消費量をできるだけ揃えたことです。

10週間後、全身の脂肪はどちらのグループも同じくらい減りました。

ところが腹筋運動を加えたグループでは、体幹部の脂肪が対照群より約700g多く減っていました。

研究者は、この結果を「spot reduction」、つまり部分的な脂肪減少を支持する結果だと報告しています。

なぜ、狙った場所の脂肪が減る可能性があるのか

実は脂肪は、その場で直接「燃えて」なくなるわけではありません。

まず脂肪細胞に蓄えられている中性脂肪が分解され、脂肪酸として血液中に放出されます。

その後、筋肉などでエネルギーとして使われて初めて、脂肪が減っていきます。

ここで面白い研究があります。

2007年、男性10人に片脚だけの運動をさせ、左右の太ももの皮下脂肪を調べました。

すると、動かしている筋肉の近くでは、休んでいる側と比べて脂肪組織への血流が増え、脂肪分解も高まっていました。

つまり、

「よく動かしている場所の近くでは、脂肪が血液中へ出やすくなる」

という現象そのものは確認されています。

腹筋だけでは、まだ足りない

問題はその先です。

脂肪を血液中へ出しただけでは、痩せません。

使われなかった脂肪酸は再び脂肪組織に戻ることがあります。

だから腹筋だけを何百回やっても、お腹が細くならなかった。

ここが、以前の「部分痩せ」と今回の研究の大きな違いです。

2023年の研究では、腹筋運動だけではなくランニングも組み合わせています。

先に運動によって腹部周辺の脂肪を動員しやすくし、そのうえで有酸素運動によってエネルギーを消費する。

この組み合わせが、結果に影響した可能性があります。

YouTubeの検証ではどうだったのか

YouTubeの動画でも、これとほぼ同じ方法を実際に検証しています。

25分ほどの有酸素運動を行ったあと、腹筋トレーニングを実施。

30日間続け、MRIで腹部の脂肪を測定しました。

ところが結果は、研究ほどきれいには出ませんでした。

男性は体脂肪率がわずかに下がったものの、腹部脂肪の減少は約0.3%。

女性は腹部脂肪が減りましたが、腕や脚など他の場所でも同程度、あるいはそれ以上に脂肪が減っていました。

つまりMRIでは、「腹だけが特別に痩せた」とは言えなかったのです。

まだ「部分痩せは証明された」とは言えない

これはかなり大事な結果です。

2023年の研究は興味深いものですが、対象者は16人しかいません。

しかも全員が過体重の成人男性です。

女性でも同じことが起きるのか。

すでに痩せている人でも起こるのか。

どのくらいの運動量が必要なのか。

まだ分からないことは多い。

現段階で「部分痩せは科学的に証明された」と言い切るのは早いと思います。

ただ、

「部分痩せなんて絶対にあり得ない」

とも言い切れなくなってきました。

では、お腹の脂肪を落とすにはどうするか

私なら、腹筋だけを増やすことはしません。

まず優先するのは、全身の脂肪を減らすことです。

そのためには食事管理が土台になります。

そして減量中こそ筋トレを入れる。

2025年に発表された25件のランダム化比較試験をまとめたメタ解析では、食事による減量に筋トレを加えることで、除脂肪量の減少を抑えながら、脂肪量をより減らせることが示されています。

動画でも、後半30日間は方針を変えています。

腹筋と有酸素運動による「部分痩せ」をやめ、食事管理と全身の筋トレに変更しました。

すると2人とも、最初の30日間よりはるかに大きく腹部脂肪が減りました。

男性は約26%。

女性は約30%。

もちろん2人だけの実験なので、この数字自体を一般化することはできません。

ただ、方向性としては既存の減量研究と一致しています。

腹筋トレーニングは無駄ではない

だから今のところ、お腹の脂肪を落とす方法はこう考えるのがよさそうです。

  1. まず食事で適度なカロリー不足をつくり、全身の筋トレを行う。

  2. そこに腹筋トレーニングを加える。

  3. そして余裕があれば、その前後に有酸素運動を組み合わせてみる。

腹筋をする意味は、脂肪を落とすためだけではありません。

腹筋そのものが厚くなれば、同じ体脂肪率でも輪郭は見えやすくなります。

実際、動画の最初の30日間では、腹部脂肪はあまり変わらなかった男性でも、MRIで腹筋そのものが大きくなっていました。

つまり、「腹筋をすれば腹の脂肪が燃える」ではありません。

しかし、「腹筋なんてやっても、お腹痩せには何の意味もない」

というのも、少し古い理解になりつつあります。

結論

部分痩せは、まだ研究途中。

お腹の脂肪を落とす主役は、今も食事と全身の運動です。

そのうえで、狙った場所の筋肉を使い、近くの脂肪を動員しやすくしてからエネルギーを消費する。

これが本当に「部分痩せ」と呼べるほどの効果を生むのか。

研究はまだ始まったばかりです。

でも長年「絶対に無理」とされてきたものに、小さな例外が見つかり始めている。

こういう話は、面白いですね。

他にも気になる健康情報をリサーチしてまとめています。

気になった方はプロフィールを覗いてみてください。


参考文献

Jeremy Ethier / Built With Science. Targeting Belly Fat Is... Possible?! (NEW Study). YouTube. https://www.youtube.com/watch?v=M1Im9q19CrE

Brobakken MF, et al. Abdominal aerobic endurance exercise reveals spot reduction exists: A randomized controlled trial. Physiological Reports. 2023.

Stallknecht B, et al. Are blood flow and lipolysis in subcutaneous adipose tissue influenced by contractions in adjacent muscles in humans? Am J Physiol Endocrinol Metab. 2007.

Vispute SS, et al. The effect of abdominal exercise on abdominal fat. J Strength Cond Res. 2011.

Binmahfoz A, et al. Effect of resistance exercise on body composition, muscle strength and cardiometabolic health during dietary weight loss in people living with overweight or obesity: a systematic review and meta-analysis. BMJ Open Sport Exerc Med. 2025.

全文完
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