ラウドネスってなに? -配信者のための配信音量の基礎-
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1. 序文
OBSの音量バーが見せているのは、音の波の一番高いところ(ピーク)です。でもピークを見ても「耳でどのくらい大きく聞こえるか」はわかりません。 それに近い数字を出すのがラウドネスです。人の耳の感じ方に近づけて測った「音の大きさ」で単位はLUFS(ラフス) YouTubeやTwitchはこの数字を使って再生するときの音量を変えています。
2. OBSの音量バーで測れるもの、測れないもの
OBSのミキサーにある音量バーはピーク(音の波の一番高いところ)を表示するメーターです。最初は「サンプルピーク」という種類になっていて、設定で「トゥルーピーク」に変えられます。
①サンプルピーク(最初の設定) デジタルの音は音の波を細かい点(サンプル)で記録しています。48kHzなら、1秒に48,000個の点です。サンプルピークはこの点のうち一番高いものを表示します。目盛りの0dBはデジタルで記録できる上限となっています。
ただし、本当の波の山は点と点の間にあることがあります。 サンプルピークにこの山は映りません。
音の波と点と山
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このためサンプルピークは本当のピークより小さく表示されることがあります。図の音では3dB小さくなります。
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実際の声や音でも短く鋭い音では数dB小さく表示されることがよくあります。
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メーターが0dBに届いていなくても点と点の間では上限を超えていることがあります。これが後々の処理(再生するときの変換など)で音割れの原因になることがあります。
②トゥルーピークに変えた場合 「設定」→「音声」→「メーター」にある「ピークメーターの種類」を「トゥルーピーク」にすると点と点の間も計算して一番高いところを表示するようになります。 OBSのトゥルーピークは本来の規格より簡単な計算で点の間を求めています。そのため上記の図の音では本当の山より1.4dB高い値になります。
バーの色(緑・黄・赤)の位置もメーターの種類によって変わります。
| 種類 | 黄色 | 赤 |
|---|---|---|
| サンプルピーク | -20dB | -9dB |
| トゥルーピーク | -13dB | -2dB |
③トゥルーピークでも測れないもの サンプルピークとトゥルーピークではトゥルーピークのほうがより正確性は高いと言えますが、それでもわからないことはあります。
| 要点 | 詳細 |
|---|---|
| 耳で感じる大きさ | ピークが見ているのは音の一番高いところだけ。大きい音がどのくらい続くかや人の耳が低い音を小さく感じることはピークには表れない。 |
| YouTubeやTwitchが音量を決めるときに使う数値 | どちらもピークではなくラウドネスの平均を使っている。 |
| 視聴者に届く音そのもの | 音量バーはソースごとに付いていて、ソースの音量バーを通したあとの音を測っている。全部を混ぜた最終的な音や、配信用に圧縮(エンコード)されたあとの音を測るものではない。 |
そこで耳で感じる大きさに近い数字を出すのが、次に説明するラウドネスという数値です。
3. ラウドネスは「耳で感じる音量に近づけたもの」
ラウドネスは音の強さを時間でならして測ります。 また、人の耳は同じ強さでも低い音を小さく感じます。 ラウドネスは、この聞こえ方に近づける補正をかけて測られた音の数値です。測り方は国際的な規格で決められておりYouTubeが表示する数字もこの測り方で測った平均とほぼ同じとなっています。 よって、ピークが同じでもラウドネスが同じとは限りません。
ラウドネスの「小さい」と「大きい」
Bは巷で言うところの「音圧を上げた」音。 大きい部分が長く続くのでピークが同じでもラウドネスは大きくなります。
OBSの音量バーのように目盛りがdBのメーターはラウドネスを表示できません。ラウドネスはLUFSを表示できるメーター(ラウドネスメーター)で測ります。 例: Loudness Dock(OBSプラグイン)
[未转换内容,参见原始 JSON]
4. LUFS(ラフス)の読み方
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ふつうはマイナスの数字で0に近いほど大きい音です。** **-14は-24より10dB大きい音となります。
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2つの音の差はLUで表しますが1LU=1dBです(EBU Tech 3341より)
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LKFSと書かれていることもありますがLUFSと同じ(EBU R 128より)
ラウドネスの基準(種別ごとのこれより大きいと小さくなるというもの)
5. 3つの測り方
同じLUFSでもどのくらいの長さで測るかで意味が変わります。
| 音の長さ | 名称 | 説明 | 使いどころ |
|---|---|---|---|
| 平均 | Integrated | 測り始めから終わりまでの平均。音がないところや全体よりかなり静かなところは計算に入れない。 | 投稿動画の大きさはこれで測る。YouTubeは動画の平均をTwitchは広告の平均と配信の直近30秒の平均を使って音量を調整していた。 |
| 3秒の音量 | Short-term | 直近3秒の大きさ。話している間もどんどん変わる。 | 配信中に「いまの大きさ」を見る時。平均は測り終わるまで決まらないから。 |
| ピーク | True Peak | 音の波の一番高いところ。点と点の間の山も計算して測ります。単位はdBTP。 | 音割れを防ぐ目安。 |
※0.4秒で測る見方(Momentary)もあります(EBU Tech 3341より)
6. YouTubeは大きすぎる音量を下げている
YouTubeは動画ごとの平均を見て基準より大きい分だけ動画全体を同じだけ小さくします。平均の基準より静かな動画を大きくすることはしません。
| 種類 | 基準 | どうなるか |
|---|---|---|
| 動画 | -14LUFS | 大きい分だけ小さくする。小さければそのまま。 |
| 広告 | -19LUFS | 大きい分だけ小さくする。小さければそのまま。 |
| 配信 | なし | 音はそのままの音量で出る。アーカイブ化した時に動画と同じく-14LUFSを基準に大きければ小さくなる。 |
-
平均を-14より大きく作っても再生されるときは-14まで小さくされます。小さくされるのは音量だけなので、強く圧縮して少なくなった抑揚はそのまま残ります。
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平均が-14より静かな動画は静かなまま再生されます。たとえば平均-24.1の動画のあとに広告が-19.0で流れると、平均で比べて広告のほうが5.1dB大きくなります。
7. YouTubeの自分の動画の音量を確かめる
PCのブラウザで動画を右クリックして「詳細統計情報」を開いてください。「Volume/Normalized」の欄にこんなふうに出ます。
YouTubeの詳細統計情報の音量欄
| 種別 | 詳細 |
|---|---|
| cont. | この動画の平均。表示はdB。LUFSと同じ数字。 |
| tgt. | 基準。投稿動画は-14.0、広告は-19.0、これよりも動画の音が大きいと調整が掛かり音量が小さくなる。 |
| %/% | プレーヤーの音量 / プレーヤーの音量にYouTubeの調整をかけた結果。 |
※YouTubeの設定「一定音量」はオフにして確かめています。 ※調べた範囲ではYouTubeはこれら数字を公表していないため、急に変更される可能性があります。
8. Twitchは広告の音量を配信に合わせている
Twitchのプレーヤーも配信自体の音量は変えません。広告のときだけ広告が直前まで見ていた配信と同じ大きさになるようにプレーヤーの音量を上げ下げします。
| 種類 | 合わせる先 | どうなるのか |
|---|---|---|
| 配信 | なし | 音量バーも音量も変わらない。 |
| 広告 | 配信の直近30秒の大きさ | 広告の間だけプレーヤーの音量を変える(0.1〜1.0の範囲) |
-
広告の音量の大きさは広告全体の平均、広告の音量を決める際に参照される配信の大きさは配信の直近30秒の平均です。
-
この2つの差の分だけ広告の間プレーヤーの音量を上げ下げします。ただし音量は0.1〜1.0の範囲でしか変えません。上げ下げできる幅は音量バーの位置で決まります。上げられるのは音量バー0.2なら14dB、0.56なら5dB、1.0なら0dBまで。下げられるのは1.0なら20dB、0.2なら6dBまでです。それより大きい差は残ります。
-
配信を開いてすぐの広告では直前に見ていた別のチャンネルの大きさが使われていました。配信を開いてすぐの広告は直前に見ていたチャンネルが静かだと小さく、大きいと大きく流れることがあります。
※調べた範囲ではTwitchはこのしくみを公表していないため、急に変更される可能性があります。
9. 生配信の音量についてわかったことまとめ
調べた範囲ではYouTubeとTwitchの公式な情報に、生配信の音量の目標値やピークの基準は見つかりませんでした。ここまでの本資料で最低限、覚えておく必要があるのは下記の4点になります。
| 対象 | 音量の扱い |
|---|---|
| 配信 | 音量は変わらない(YouTube・Twitch共通) |
| YouTube配信の合間の広告 | -19LUFSを基準に小さくなる。-19より小さい場合はそのまま。 |
| YouTube動画・配信アーカイブ | -14LUFSを基準に小さくなる。-14より小さい場合はそのまま。 |
| Twitch配信の合間の広告 | 広告は配信の直近30秒の大きさの平均に合わせて音量バー自体が広告の間だけ変動する。 |
10. 結局、配信音量はどうすればいいのか?
❶平均だけでは足りない
配信の平均が-19LUFS以上なら平均で比べて広告のほうが大きくなることはありません。しかし平均が同じでも、部分的な大きさは素材によって大きく違うことがあります。
たとえば広告として流れたときの平均は、ポッキーのCMもUberのCMも-19.0LUFSでした。ところが3秒の最大(3秒ごとの大きさのうち一番大きい値)は、ポッキーが-14.9LUFS、Uberが-18.2LUFSで、3.3dB違いました。
このためポッキーのCMが平均-24LUFSの静かな配信・動画の合間に流れると平均では本編より5.0dB、3秒の最大では本編の平均より9.1dBも大きくなります。これが音量の静かな配信中に広告が爆音に聞こえてしまう理由のひとつです。
❷放送の世界の考え方
放送の世界ではCMのような短い素材について対策が推奨されています。 欧州放送連合(EBU)は60秒未満の短い素材について、次の2つを推奨しています(EBU R 128 s1、EBU Tech 3343-2023より)
-
平均を番組の基準(EBUでは-23LUFS)に揃える。
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3秒の最大を番組の基準+5dB(EBUでは-18LUFS)以下に抑える。
日本のテレビ放送の基準(民放連T032より)は-24LUFSで番組もCMも平均をこの値にそろえます。ただしT032が数値で決めているのは平均だけ。3秒の最大については決めていません(T032運用ガイドラインより)そのため、ここでは3秒の最大の決まりがあるEBUの考え方を使います。 下の計算で使うのは「平均をそろえる」「+5dB以内」という関係だけなので-23と-24のどちらを基準にしても結果は変わりません。
これはあくまで放送のための基準でYouTubeの基準ではありません。 YouTubeが広告で揃えているのは平均(-19LUFS)だけで、3秒の最大はそろえていません。しかしながら根拠のある目安として「配信の平均がこれより小さくなければ、広告が大きくなりすぎない」という下限を求めることはできると考えます。
条件は二つ。
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広告の平均が配信の平均より大きくならない。
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広告の3秒の最大が「配信の平均+5dB」より大きくならない。
| 条件 | 使う値 | 配信の平均の下限(目安) |
|---|---|---|
| ①平均 | 広告の平均は最大でも-19.0LUFS(YouTubeが-19を超えないように下げるため) | -19.0LUFS以上 |
| ②3秒の最大 | 観測した20本で最大の-14.9(ポッキー)-14.9-5=-19.9 | -19.9LUFS以上 |
| ①と②を満たす | ①と②の大きいほう。 | -19.0LUFS以上 |
11.ここまでの結論
配信の平均が-19LUFSより小さくなければ、観測した範囲の広告は平均でも3秒の最大でもEBUの考え方の範囲に収まります。 3秒の最大が一番大きいポッキーでも配信の平均より4.1dB大きいだけで上限の+5dBまで0.9dBの余裕があります。
-19LUFS(平均)は「この値に合わせればいい」という値ではありませんが、少なくとも「これより小さくなければいい」という下限の目安として根拠を持って提示できる数値となるのではないでしょうか。
配信中のラウドネスの平均(Integrated)は上記でも紹介したLoudness Dock(OBSプラグイン)で見ることができますので、配信の音量が気になる方は、ぜひ導入して配信中に確認してみてください。
注意
-
この下限は観測した20本の広告から求めたものです。平均が-19LUFSのまま3秒の最大が-14.0LUFSを超える広告が流れると下限は「その広告の3秒の最大-5」に上がりますが、YouTubeにアップロードされたCM動画そのものの音量もまた-14LUFSを上限として調整されるため、可能性としては薄いと考えます。
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数値は2026年10月16日にYouTubeで観測したものです。 YouTube側の変更で変わることがあります。
以下、出典
以下の規格は音の測り方と単位の決まりに使っています。 民放連T032は日本のテレビ放送の基準を比べるための参考です。EBU Tech 3343-2023は最後の章で配信の平均の下限を求める計算に使っています。どれも配信の音量を合わせる値としては使っていませんが、出典として提示します。
12. 最後に宣伝をさせてください(大声)
はぁはぁ……つ、疲れた……丸一日掛かりましたこの記事作るの…… ここまで書いておいてなんですが
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-19LUFS(平均)の音をどうやって作り出すかわからない
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音量を上げたらノイズが大きくて声がガビガビになる
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いい機材を持っているのに配信音量にも配信音声にも自信がない
etc...
この記事を読んでなお、様々なお悩みがあるかと思います。 基礎的・初歩的なことは下記のポストの画像にまとめておいたのですが
自分で言うのもアレですが読みにくいしよくわからない!!! それに画像に書いたことはあくまでも最低限。本当はもっと高度な調整や環境を構築する方法があります。
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